それゆえ、わたしの心はモアブのために笛のように嘆き、わたしの心はキルヘレスの人々のために笛のように嘆く。彼らの獲た富が消えうせたからである。
それゆえ、彼らはその得た富と、 そのたくわえた物とを携えて、柳の川をわたる。
それゆえ、わが魂はモアブのために、 わが心はキルハレスのために、 琴のように鳴りひびく。
わが心はモアブのために叫び呼ばわる。 その落人はゾアルおよび エグラテ・シリシヤにのがれ、 泣きながらルヒテの坂をのぼり、 ホロナイムの道で滅びの叫びをあげる。
しゃこが自分が産んだのではない卵を抱くように、 不正な財産を得る者がある。 その人は一生の半ばにそれから離れて、 その終りには愚かな者となる。
ああ、わがはらわたよ、わがはらわたよ、 わたしは苦しみにもだえる。 ああ、わが心臓の壁よ、 わたしの心臓は、はげしく鼓動する。 わたしは沈黙を守ることができない、 ラッパの声と、戦いの叫びを聞くからである。
どうか、天から見おろし、 その聖なる栄光あるすみかからごらんください。 あなたの熱心と、大能とはどこにありますか。 あなたのせつなる同情とあわれみとは おさえられて、わたしにあらわれません。
富める者の富はその堅き城である、 それは高き城壁のように彼を守る。
善良な人はその嗣業を子孫にのこす、 しかし罪びとの富は 正しい人のためにたくわえられる。
宝は怒りの日に益なく、 正義は人を救い出して、死を免れさせる。
町々を滅ぼし、おのおの石を一つずつ、地のすべての良い所に投げて、これに満たし、水の井戸をことごとくふさぎ、良い木をことごとく切り倒して、ただキル・ハラセテはその名を残すのみとなったが、石を投げる者がこれを囲んで撃ち滅ぼした。
それゆえ、わたしはモアブのために嘆き、モアブの全地のために呼ばわる。 キルヘレスの人々のためにわたしは悲しむ。